公立中高一貫校受検(中学受検)

今日、授業料が安く高い水準の教育を受けることができる公立中高一貫校が進学先としてよく選ばれています。

では公立中学一貫校に入学したいときどのような対策を行えばよいのかについて考えてみたいと思います。どのような問題が出題されているのか?学習塾に通わなければ合格できないのか?受検すること自体に意味があるのではないか?など色々なことについて解説してみたいと思います。


目次

 

      1. 公立中高一貫校とは
      2. 入試問題
      3. 受検対策について
      4. 公立中高一貫校を受検することの意義
      5. まとめ

1. 公立中高一貫校とは

 

公立中高一貫校は、公立の学校でありながら中学校・高校の一貫教育を受けることができます。中学校からレベルの高い教育を行うことで生徒の学力を高い水準に持っていくことができ、高校での学習内容も高水準にすることができます。

そのため、大学進学において国公立大学や難関大学を視野に入れることができる学生の育成を行うことができます。

学力の面では公立と私立のどちらが優れているとは一概には言えませんが、授業料の面では公立と私立では大きな違いが出てきます。学習意欲はあるのに、経済的な理由で、より良い教育を受けることをあきらめなければならいというような、不条理なことが起こることを防いでくれる学校でもあるといえます。

 


2. 入試問題

 

公立中高一貫校の問題は算数と理科の知識を使う理数系の問題と、国語と社会の知識を使う文系の問題の2種類が出題されます。

どちらも小学校で学習する内容を使った、思考力を問う問題ばかりなのでしっかり対策をしておかなければ解くことは困難です。

 

〇理系適性検査(算数・理科)の問題

 

公立高校の入試問題や大学の共通テストと同じように会話や場面の説明の延長に問題が登場します。したがって、問題文だけでなく、その前段階で何が行われているのかなどの情報を整理しながら読解する力が求められます。

問題も条件を整理して考えなければならないので計算ができるだけでは解くことはできませんし、考え方まで回答欄に記入することが求められます。

 

〇文系適性検査(国語・社会)の問題

 

文系の問題も学校のテストとは異なり複数の資料やデータを用いて新聞の一部分を作成する問題や、難解な文章を読んで自分の体験と結び付けた作文を行う問題などが出題されます。

高度な文章読解力が求められますし、筋道立てて文章を書く力も必要になります。

 


3. 受検対策について

 

受検対策として押さえておきたいポイントをいくつかご紹介します。

〇学習塾や通信講座を利用する

 

・学習塾

最近ではどの学習塾も公立中高一貫校対策を行っています。学習塾は通信講座よりも費用は掛かりますが志望校の出題内容に合わせた指導を行ってくれます。

入試で出題される問題は学校毎に異なり、そのレベルも異なります。特に個別指導の学習塾では講師が学校毎に授業内容を考えて指導してくれるので効率よく学習を進めることができます。

 

・通信講座

中高一貫校対策の通信講座も存在します。学習塾よりも費用は安く抑えることができます。専用のテキストを用意して学習をサポートしてくれます。問題の添削を行ってくれたり電話などで質問できたりと様々なサービスを受けることができます。

通信講座では公立中高一貫校に出題される問題の形式や考え方を学習することができますが、志望校の出題傾向に合わせた学習を行うのは難しいです。網羅的にすべてを学習することになるでしょう。

 

〇各教科の対策

 

・算数

・計算は絶対間違えない

適性検査で判断されるのは論理的思考力です。順序立てて考えることに力を注がなければなりません。

小学校で学習する計算はできて当たり前にしておかなければならいと思っておかなければならないでしょう。少し複雑な計算問題を解いて計算力を高めておきましょう。

 

・単位量当たりの大きさ、割合、速さを使いこなす

論理的思考を問う問題を出題しようとしたとき、単位量当たりの大きさ、割合、速さはテーマにしやすい単元です。必ず出題されるとは言えませんが出題される可能性は高いのでしっかり練習しておいた方がよいでしょう。

答えを出すための計算は掛け算なのか割り算なのか、すぐに判断して計算できるよう反復練習して感覚として身に付けておきましょう。

 

・面積関連の問題

ただ公式を使って面積を求めるだけではなく、条件に従って色々な形に分割したり、決められた条件に当てはまるように図形を並べたりする問題がよく出題されます。小学校では学習しない技を使うこともあるので練習しておく必要があります。

 

・規則性の問題

これも論理的思考を必要とする単元です。高校生になると数列を学習しますが、それにつながる知識を必要とする問題や、プログラミング的な特殊な指示をしっかり読み取る必要がある問題などが出題されています。受検対策の問題集などで練習しておく必要があるでしょう。

 

・理科

・実験をするときの考え方

植物の発芽条件や振り子の周期の問題など、実験の問題は論理的思考が必要になります。基礎知識を持っていることが必要になることもありますし、実験の手順から規則を見抜く力も必要になるでしょう。実験問題の解き方をしっかり練習しておいた方がよいでしょう。

 

・電気、植物、化学、物理など基礎知識はしっかり

電気、植物、化学、物理関連の単元は実験を行う問題として出題されやすいです。基礎知識が必要ない時も稀にありますが、これらの単元の知識はしっかり身に付けておかなければ問題に手が出ないこともあるでしょう。

 

・国語

・難易度の高い本の読解

適性検査で出題される読解問題の文章は大人が読んでもすぐに理解できないくらい難解なものが多いです。適性検査の対策テキストなどで類題をたくさん解いて難解な文章の読解に慣れておく必要があります。

 

・資料の内容をまとめる

複数の資料の内容をまとめて記事を作るような問題もよく出題されます。データがどのように関連しているのか見抜き、問われていることに答えなければなりません。こちらもしっかり練習しておかなければちんぷんかんぷんな解答を書いてしまう恐れがあります。

 

・自分の体験と文章の内容を結び付けて書く

問題の本文の筆者の主張を読み取り、自分の体験と結び付けた文章を書く問題もよく出題されます。どんな出題をされてもしっかり自分の体験と結びつけられるように練習をしておく必要があるでしょう。

 

・社会

・環境問題、食料問題など現代の社会問題

社会で問題になっていることがテーマとして出題されることがよくあります。何が問題でどのような解決策が考えられるのか、あらかじめ知っておくことは無駄にはなりません。様々な社会問題について学習しておきましょう。

 

〇過去問での対策

 

・出題形式に慣れる

初めにも書いたように適性検査は小学校で受けるテストとは全く異なる形式の問題です。過去問に触れずに一発本番で臨んでも手も足も出ないでしょう。何年分か解いていくと出題の形式にも慣れて考えられるようになってくるはずです。

問題をパターン分けして把握できるようになればすぐに問題を解き始められるようになると思います。一度解いた問題でも、何も見ずにもう一度解くことができるか何度も確認しておきましょう。

 

・考える手順や発想の仕方に注目する

過去問を解くときのポイントは、問題の形式に着目することです。例えば、場面としては「登山道を選ぶ」、「アトラクションを選ぶ」、「買い物」、「体験学習の計画」など異なるものであっても、どれも「複数の条件を整理する力」を問う問題であるという場合があります。

「複数の条件を整理する力」を問われる問題であれば、どのような手順で考えるかは共通する部分が多いです。どんな場面だったかよりもどのパターンの出題なのか分類しながら練習することをお勧めします。

 

・答えの書き方に慣れる

理系の問題の解答の書き方として、考える手順も書くことを求められることがあります。一度で解答を書き上げようと思うと、順序立てて答えていく必要があります。

解答の書き方もある程度パターン化することができるので、何から順番に書くと、うまくつなげることができるのか意識しながら練習するとよいでしょう。

 


4. 公立中高一貫校を受検することの意義

 

公立中高一貫校の適性検査は論理的思考力を問うものです。小学校の教育では、なかなかこのような問題に触れる機会はありません。ですから、受検勉強で適性検査型の問題を解くというのはとても貴重な経験になります。

論理的思考力は生きていく上で起こる様々な問題を解決するときにとても役に立ちます。問題の真因を冷静に考えて、それを解決していく手順などを考えることができるでしょう。

目標をもって集中して物事に取り組む姿勢を早いうちに身に付けておけば、それが習慣になり、中学・高校・大学そして社会人へと人生のステップが進んでいく中で、必ず役立つ場面が出てきます。

 


5. まとめ

 

公立中高一貫校の受検を考えている人は受検対策で学習塾に通ったり、通信講座を受講したりすることが多いと思います。小学生は学校で学習している知識の量が少ないので、受検用に覚えなければならないことも多いです。

試験の時に瞬時に使える知識として学習した事を身に付けるためには、復習を繰り返して感覚に落とし込むことが必要不可欠です。また、この記事で述べてきたようなパターンとして分類してとらえることなどは、中学校、高校と進学しても役に立つ発想なので、受検勉強を通して身に付けてもらいたいです。

受検に向けて努力することは合格する学力を手に入れる以外にも集中力や継続力、論理的思考力や読解力として身に付くはずです。

志望校に合格できるに越したことはありませんが、もし不合格になったとしても受検勉強から社会人として求められる力を得ることもできるので、受検するか悩んでいるのなら、ぜひ公立中高一貫校の受検にぜひ挑戦してみて下さい。

 


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